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真愛~美女と野獣より・孤独な王子と黄色い薔薇の物語~
第4章 真実の愛に気づく瞬間
 ロザリナが二股などかけられる娘ではないことを、トーマスは誰よりも知っていた。あの子はこの世のどんな女よりも無垢で優しい。だからこそ傷つきやすいし、そんな彼女を守ってやりたいと彼は思うのだ。





 アパートで待ち伏せていた夜、思わず弟と彼女の間を疑うようなことを言ってしまったのは、彼がその時既にゴシップ誌の記事内容をわずかなりとも知っていたからだ。だから、つい嫉妬に任せて彼女を傷つける暴言を口にしてしまったことをどれだけ反省して後悔したか知れない。
 あまつさえ、彼はロザリナを力尽くで我が物にしようとした。
 女性の自由を奪い、暴力で従わせようするなど、普段の彼であれば嫌悪感しか催さない卑劣な行為だ。
 彼はよりにもよって、誰よりも守りたいと願う女性に対して、その卑劣な行為を働こうとした。どれだけ言い訳を並べようと、許されることではない。
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