この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
真愛~美女と野獣より・孤独な王子と黄色い薔薇の物語~
第1章 孤独な王子

トーマスはその日、お忍びで外出していた。ふと視線を動かした先に、彼女はいた。シンプルなブルーと赤の格子柄のシャツ、履き古したデニムのオーバーオールを纏い、長い茶色の髪の毛を無造作に二つの三つ編みにしている。
彼女の腕に抱えた花束はミモザだろうか。黄色い小さな花がたくさんついている。ふわふわとした花が彼女の周囲を縁取り、まるで、花の精のようだ。
「やあ」
トーマスはいかにも偶然、彼女を群衆の中から見つけ出したとでもいいたげに声をかけた。見つけたのは確かに偶然としか言いようがなかったが、けして偶然だけではなかった。
いつもの習性で彼に付き従ってこようとしたSP二人を手で制した。
彼女の腕に抱えた花束はミモザだろうか。黄色い小さな花がたくさんついている。ふわふわとした花が彼女の周囲を縁取り、まるで、花の精のようだ。
「やあ」
トーマスはいかにも偶然、彼女を群衆の中から見つけ出したとでもいいたげに声をかけた。見つけたのは確かに偶然としか言いようがなかったが、けして偶然だけではなかった。
いつもの習性で彼に付き従ってこようとしたSP二人を手で制した。

