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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第5章 母の暴走
母親は和服姿で三者面談に現れた。

皆母親和服姿に注目を浴びた。
「おい、お前の母ちゃんかなり美人だな」
そんな事を言うヤツも何人かいた。

そしてオレの番になった。

母親は和服姿で礼儀正しく先生に深々と頭を下げた。

席に座り、開口一番
「先生、家の息子はどこの学校に行けるのか全く把握しておりません。ただこれはあくまでも私個人の考えですが、この子の学力だと、可もなく、不可もないような学校に行くんじゃないかと思ってます。
それならば、私の子は高校なんかに行かなくてもいいというのが私の考えでございます」

母親は毅然とした口調で、しかも妖艶な目付きで先生の目を見据えてキッパリと言い切った。

「ま、まあ、お母様の考えもわかりました。ただ、可もなく、不可もない学校と仰いますが、古賀くんの学力ならば今からでも進学校に入学できる実力は十分にあります」

先生は母親の妖しげな目に戸惑いつつも、義務的に述べた。

「で、古賀くんはどこの高校に行くつもりなのかな?」

「特に何も決めてません。行ける高校があれば、それが公立校でも、私立校でもどちらでも構いません」

「亮輔、中途半端な学校に行くなら高校に行くのはお止めなさい。あなたはそんな学校に行っても何もあなたの為にならないのよ」

「ま、まあまあお母様、ここは古賀くんの言うことも尊重してあげましょう。それに高校に行かないでどうするおつもりですか?」


更に母親は毅然とした態度で先生の目を瞬きもせず、はっきりと言った

「この子は高校に行かず、私の知り合いのところで働かせようかと思ってます」

「お母様はこういう事を言ってるが、古賀くんの考えはどうなの?」

正直、どっちでも良かった。中学を卒業したら、あの家から出ようと思っていたからだ。

「少し考えさせて下さい」

オレは即答を避けた。

「そ、そうか。でもなるべく早めに教えてくれよな」

先生もそう言うしかなかった。

そして三者面談は終了した。

帰りは母親と一緒に帰ったが、互いに無言のまま家に着いた。

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