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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第44章 本当の出生の真相

「そうですか、わかりました。で、仕事の件ですが」
達也は話を切り替えようとした。
「いつまでならその金用意できるんだ?」
葉巻を燻らせ、弁護士は鋭い眼光で達也の目を見て答えた。
「2日、2日後には用意できます。で、これは手付金なんですが」
達也は封筒に入った金を机の上に置いた。
「いらねぇよ、手付金なんて。前金で全額もらう。それでいいな」
弁護士は依頼人を信用しない。
だから引き受ける際は必ず前金でもらう事にしている。
「わかりました。それと連絡先が無いっていうのは何故ですか?」
達也は興信所の男に言われた事を思い出した。
連絡先が全くわからない、依頼人にも教えようとしない、と。
「そんなもん必要ない。またここに来ればいいだけの事だ。わかったな?」
「…はい」
疑心暗鬼になりながらも達也は渋々了解した。
「ではまた2日後にここに来ますので」
「おう、ちゃんと金用意してこいよ」
そう言って弁護士は再び新聞に目を通した。
(大丈夫なんだろうか、あの弁護士…しかも名前を名乗らないなんて)
何から何まで不穏な雰囲気を醸し出す人物だ。
達也は事務所を後にし、金の工面を始めた。

