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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第70章 精神力

「ところで沢渡さん」
亮輔は姿勢を正し、正座した状態で沢渡に単刀直入に聞いた。
「兄は本当に事故死だったのでしょうか?いつも車に乗っていた兄が電車に乗るなんて、変だなとは思っているんですが」
沢渡の目を見据えたまま、亮輔は疑問をぶつけてみた。
「亮輔くんが不思議がるのも無理はない。確かに君のお兄さんはいつも車で移動していた。
だが、亮輔くんも知っての通り、お兄さんはそれまで警察署に勾留されていた。
そして私が弁護士を手配して、お兄さんは釈放された。
本来なら、迎えの車が来るはずが、私を含め、他の連中も外に出て仕事をしていたので、迎えに行くことが出来なかった。
だからお兄さんは電車に乗って会社に向かおうとした矢先にこの様な事件になってしまった。
まぁ、亮輔くんが疑問に思うのは当然だ。だが、これが事件の真相なんだよ」
「そうでしたか…」
「亮輔くん」
「はい」
「君は強くなったな。本来なら君はまだ高校1年生で、部活をしたり、友達と放課後に遊びに行ったりしてるはずだった。
それがこの数ヵ月で色々な災難が君に降りかかった。
なのに君はそれを乗り越えようとしている。
私も君と同じぐらい年の子供がいるが、比べものにならないぐらい、君は大人になっている」

