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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第80章 早く殺してくれよ!

「テメー、刺されなきゃわかんねぇのか、おいっ!」
ナイフを向け、オレを刺すように威嚇した。
そうか、そうくるか。オレは立ち上がり、上着を脱いで左胸を指した。
「殺るならやってくれよ!ここに刺せばオレは死ねるんだよ、なぁ、早く刺して殺してくれよ、おい!」
ハッタリでも何でもない。
オレは以前、兄に騙され、マンションを追い出された時、どこにも行く所が無く、生きる気力を無くし、死のうと思っていた。
早かれ遅かれ人は死ぬ。ただそれが早まっただけの事だ。
ナイフを持ったチビは後退りした。
「どうせ生きててもロクな事がねえんだよ、殺してくれよ、頼む!今すぐここを刺してくれよ!さぁ、早く殺してくれ、頼む!」
オレはチビに詰め寄った。
「お、お前頭おかしいんじゃないか?」
「おい、コイツかなりヤベーぞ」
「ここで刺したらマズイぞ!」
ヤツらはビビってしまった。
「早く!早く刺してくれよ!殺せって!もう生きてても何の意味もねぇんだよ!なぁ頼むよ、心臓目掛けてぶっ刺してくれよ!」
オレは本気だ。
この先、良いことなんてない。
だったらここで死んでしまおうと。
自殺より他殺の方がいいと思い、今まで死ぬのを踏みとどまった。
兄の幻影に悩まされるぐらいなら、いっそ死んで楽になりたい。
「…おい、もういい。早く帰れ」
切れ長のヤツがオレにここから早く出ていけと、シャッターの方を指した。
「何で殺してくれないんだよ?オレは死にたいんだよ!自殺したら負けだと思って今まで生きてきたんだ。殺される方がマシだ!」
「うるせーっ!いいから出ていけ!おい、コイツこっから追い出せ!」
切れ長の言葉で、他の二人はオレを押さえつけ、シャッターを開けて外に出された。
(何で殺してくれないんだよ…)
また生き地獄を味わうのか。
だったら、死ぬ前に凜に復讐してやる!
あの女の顔が、ニヤけた兄の顔と重なって、怒りが込み上げてきた。

