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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第16章 金の亡者、種違いの兄
兄は大学に入学したばかりで、父親に似て長身でチャラい感じの男だった。髪は茶髪で長め、膝の破れたデニムにパーカーを着てフードを被っていた。

おれは兄に会釈し、父親と住む事になったきっかけを話した。

兄もオレという弟の存在は知っていたが、初めて見るオレを見てこう言いはなった。

「お前がオレの弟だという事はわかった。で、オヤジの残した財産だが、それはオレに権利がある。わかるよな?オレとお前は兄弟だが、お前はオヤジとは血の繋がりがない。そういう事だからオヤジの遺産はオレが貰う」

父親の遺体の目の前で何て事を言うんだ、この男は。
父親は海外で殺されたんだぞ!悲しむ前に遺産の話か!
オレは怒りを押し殺して、兄はこう告げた。

「遺産がどうのこうの言う前に、父親が亡くなったんですよ!貴方のホントに父親がこうやって安らかに眠ってるじゃないですか!これを見て何とも思わないのですか!」

兄は父親とソリが合わなかったのだろうか、亡くなったという事の悲しみよりは頭の中は遺産の事で頭がいっぱいなのだろう。
父親の遺体の前でこれ以上言い合いをするつもりはない。
だが、これだけは兄に伝えた。

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