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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第85章 麻薬中毒者(ジャンキー)となって…

「衰弱ってのはどういう意味ですか?」
【…亮輔くん。残念だが、お母さんはもう以前のお母さんじゃなくなってる。
どうやら向こうでタチの悪いマフィアの連中相手に売春をしてたみたいだが、問題なのはドラッグ漬けにされて、ほぼ廃人同然らしい】
廃人!まさか凜のようになったのか?
「で、母は日本に帰ってこれるんですか?」
【…うん、だがかなりのドラッグの量を使ったせいか、麻薬中毒者になってしまったらしい。
帰国しても、すぐに面会という訳にはいかないみたいなんだ】
そんな!ジャンキーになったのか…
「で、母は帰国したら逮捕されるんですか?」
【その辺りはまだよく解らないんだ。とにかく今はドラッグ漬けになった身体を治療させないと】
「あの、…母は元に戻る事は出きるんでしょうか?」
【…それは解らない。何せドラッグは人を滅ぼすクスリだからね。今の状況では何とも…】
「そんな…」
【亮輔くん、とにかくこれから空港へ行くのだが、君も来れるか?】
「勿論、行きます、行かせてください!」
オレはオフクロが見つかったという知らせより、ドラッグにまみれて変わり果てた姿になってるであろうその姿が頭に浮かぶ。
南米に飛ばされて売春を強いられてたのか…
あのクソアニキのせいで!
オレは沢渡さんが迎えに来てくれた車に乗り込んだ。
「お母さんはいわゆる逃亡犯罪人引渡法にはならないから犯罪者という扱いはされないと思うんだが、ただ麻薬中毒という事もあり、どうなるかは警察の判断に任せるしかないみたいだ」
「だってオフクロはあの兄にはめられて海外に飛ばされたんですよ!これって人身売買の被害者じゃないですか!沢渡さん、何とかならないですか?」
オレは沢渡さんに頼るのは止めようと誓ったのだが、オフクロの件となれば話は別だ。
「亮輔くん…」
「はい」
沢渡さんの顔がバックミラー越しに沈痛な表情をして話を切り出した。

