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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第123章 スエット上下で面接…

オレは小声でヤンキーに言ったが、全く聞いちゃいねえ。
「ところで君は何でボーイになろうと思ってるのかな?」
沢渡さんはあくまでも穏やかな表情だ。
「えー、ボーイになれば色んなキャバ嬢に囲まれて何かいいじゃないすか。それにもしかしたらキャバ嬢と付き合えるかもしんないし」
「成る程、そういう事か…」
その瞬間、カップに入っていたホットコーヒーをヤンキーにぶちまけた。
「あ"っぢぃ~っ!!」
顔にホットコーヒーをかけられ、ヤンキーは大声を上げた。
店内では、何事か?とばかりに客がこっちを見てざわついた。
「今すぐその頭を黒く染めてこいっ!!そして明日ここに来るんだ!次にそんなふざけた格好で来たらこれだけじゃ済まないぞ!解ったかっ!」
鬼のような形相でヤンキーを一喝して名刺を渡した。
その迫力にビビったヤンキーは震えながらも「は、はいっ!」
と返事した。
「じゃ、亮輔くん。後の事は私に任せてくれ。彼を一から鍛え直すから」
鬼の形相から一変して温和な表情に変わった。
「あ、ありがとございます。このバカをよろしくお願いいたします」
オレは沢渡さんに礼を言った。
ヤンキーはまだ顔が熱いのか、しきりにおしぼりで顔を拭いていた。
「いいか、私の所の店で一から勉強するんだ、給料は20万からスタートだ」
そう言うと、沢渡さんは席を立った。
「亮輔くん、今度お母さんにお線香を上げに伺うよ。その時は一杯だけでいいから私に付き合ってくれよ」
「わかりました。母も喜ぶと思います」
「ではすまないが、私はこれで失礼するよ。おい!明日必ず私の所に来いよ、しかもスーツを着て来るんだ、いいな!」
そう言い残し、沢渡さんは店を出た。
このバカ!あまりにも人を舐めすぎだ。
…まぁ、これでコイツもこの腐った性根を叩き直されるし、オレの部屋から出ていくんだから一件落着だ。
ヤンキーのビビった姿を見て、オレは笑いを堪えた。
…あ、オレよく考えたら笑うの何年ぶりだろうか。
何だかオレに対しても喝を入れられたような気がした。
さすが沢渡さんだ。

