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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第144章 ナツの術中にはまってしまった

その顔はいつもと様子が違い、無表情で不気味な感じすら覚える。
「だからどうした?オレは人殺しの兄の弟だ。だったら何だと言うんだ?」
オレは立ち上がり、再び部屋に入った。
ナツはパジャマ姿でソファーに座り足を組んでオレを冷たい目で瞬きもせず、見ていた。
陰と陽、二重人格者とも思えるナツの顔は完全に陰の顔だ。
「何、開き直るつもり?言っとくけど、アンタは一生苦しめ、と言ったはずよ。覚えているでしょ?」
言葉に感情が無く、棒読みのセリフのような口調に不気味さを感じずにいられない。
「じゃあ聞くが、お前姉ちゃんと会ったことが1度も無いと言ったよな?おかしくないか?児童養護施設に預けられたとはいえ、いくらでも会える機会はあったはずだろ?顔も見たこと無い、声も聞いた事が無い、おまけに写真すら見たことが無いんだろ?不自然すぎやしないか?」
「…それは私の母が亡くなる数日前に初めて聞かされたと言ったでしょ?もう覚えてないの?」
コイツ、ウソをついてるのかどうか解らないが、それまで姉の存在すら知らなかったというのは、あまりにも不自然だ。
ならば尻尾を掴むまでここに居座ってやろう。
そしてとりあえず一芝居しようと。

