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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第170章 国籍云々でガタガタ騒ぐな!
このマンションの住民のほとんどは在日コリアンで、家賃も都内にしてはかなり格安だ。

築年数は15年とやや古いが、八畳の洋室と6畳の和室にリビングがある2LDKの部屋を借りる事にした。

「お客様、失礼ですが、在日の方ですか?」

窓口で対応した担当の男は達也を見るなり、国籍の事を聞いてきた。

「いや、日本人だけど。何か都合の悪い事でも?」

達也は小島の免許証を窓口の男に見せた。

もう、古賀達也という人物は列車にはねられこの世を去った。
これからは小島晴彦(こじまはるひこ)として再スタートを切る。

「これはこれは大変失礼致しました。しかし、何故日本の方がこのコリアンタウンに住もうと?」

窓口の男は首を傾げていた。
あのコリアンタウンに日本人が住む、随分変わった人だなぁと。

「何故って?ここは日本ですよ?日本人が日本の街に住む。当たり前の事じゃないですか」

達也は当然だ、とばかりに窓口の男の問いに答えた。

「でも、あの場所は在日の人ばかりですよ…ここだけの話、あの辺りは日本人があまり彷徨かない程、在日の連中ばかりでして…ですからこの地域にしてはかなり安い家賃なんですけどね、ええ」

達也の隣で聞いていたナツは、窓口の男の言う事が日本人と在日コリアンの格差を言っているように思えた。
あぁ、やっぱりここでも私みたいな在日の人間は差別されるのか、と。

「さっきから在日、在日と。同じ日本に住んでる者同士でしょうが?それともあの場所だけ円じゃなく、ウォンの紙幣が必要なんですか?
テレビをつければ韓国の放送局しか映らないんですか?
違うでしょう。あなたの言ってることは差別発言だ!
日本だ韓国だと、そんなに区別してよくこのような仕事が出来ますね?これはれっきとした差別発言です!
私は日本人です。そしてその地域に住んでる人も国籍が違うだけの人でこの日本で生まれ育っているのです!あなたがもし、韓国で生まれ育った日本人だとしたら、今のような事を言われたらどう思いますか?決していい気分にはならないでしょ?違いますか?
私はあの場所が気に入ったから住みたい、それだけです。
日本だ韓国だと騒いでないで同じ場所に生活する者同士なんですよ。わかりますか、この意味が!」
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