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囚われの城
第1章 プロローグ
瑠菜は、明るくて愛想が良く、優しくて誰からも好かれる少女だった。
小学校で瑠菜は好きな人がいた。
同じ中学に通い、いつか結ばれることを夢みていた。
しかし、小学校の卒業式。
未婚で、16歳で瑠菜を生んだ母親は、卒業式に出席しなかった。
ホストにハマって借金が膨らんだ母親は、ヤミ金に手を出した。
その日、家にはスーツ姿の男が来ていた。
瑠菜が帰ると、スーツの男はおもむろに立ち上がった。
「それじゃあ奥さん。悪い話じゃない。よくお考えください。また明日来ますね」
「はい…」
「こんにちわ、おじさん」
帰ろうとする男に、瑠菜は愛想良くニコニコしながら挨拶をした。
男は不器用に笑い、瑠菜の目線に合わせ頭を撫でた。
「こんにちわ」
「ママのお友達?」
「……奥さん、上玉じゃないですか」
「……っ!」
「では、私はこれで」
そのまま男は立ち去り、呆然とする母親と瑠菜だけが部屋に残された。