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第13章 あたたかい風

旅行から戻ってからオレは
休みが明ける前に
ソウタさんを訪ねることにした


アイルの様子を伝えたいのと

どうしても・・・気がかりなことがある





アイルの仕事の事だ




アイル自身は正直、元気にしている




既に仕事に戻るとさえ言ってきた


アイルが元気で前向きなのは
本当に喜ばしい事だ



ソウタさんもマナさんもいる、そこも安心



だけど、ひとつ…

必ず付きまとうものがある






世間というものだ






アイルの事は
事件になった以上
ニュースにもなっている




アイルの名前は出ないが・・・世が世だ





どこから、どうとでも
情報ってのは流れるもんだ




…知れてないハズはない

ましてや近所になんて




アイルには何の非もない


堂々としていれば良い


それは紛れないのだが



世間の風というのは
いつ、どの方向へ向いてしまうか
わかったものではない


それが狭ければ狭い程
風向きが違えば・・・ドン底だ




アイルの仕事の信用や人望を考えれば

あまり心配ない…

そう思っているけど




もしかしたら
心ない事を言う人だって
いないとは限らないし



下手に同情されたり

逆にそれが親しい人達であればあるほど…

腫れ物に触るようにでもされたら



近しい人々に哀れんで見られたら

どちらにしてもアイルは…傷つくだろう



今のアイルならば


〃べつに〃

〃ﾍｲｷ〃


とか言って
平静としてくれそうな気も
しなくはないが


もしもの場合…最悪の場合…アイルは
大好きな仕事を

このまま辞めることだって…
あり得るかもしれない


オレはひとり…数々の

〃もしも・もしかして〃に

少し…胃が痛い思いでいた



アイルが朝食をとりながら
〃明日から仕事に行く〃と言ってきた


明日は土曜だ

営業時間も短いし慣らすためにも、と言う


オレはソウタさんに会いに行った

ブリーダーハウスは
アイルが休んでいるから

休業状態だが…？



診察の合間に
ソウタさん、マナさんが顔を出してくれる


そして例の３匹が
待ち合いのテーブルにいるオレによってくる



マロンにルナ…そしてモコ


あれ？…オレ…こんな
いつの間になつかれたんだ？


こいつら、やたらすり寄ってくるぜ？