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第13章 あたたかい風
『ただいま』


『……』



オレが段ボールを抱えて帰ると

アイルがソファで膝を抱えて

小さくなっていた





ボーっと・・・してる?





『…アイル?』




『ぁ…。リョウキっ…おかえり

用事…早かったね』






『あぁ。…アイル・・・どした?』


『ううん…べつに』






『明日、…不安なの?』



『べつに…』






『無理しなくていいんだからな…?

あ、でもコレ・・・渡しとくぜ?』




『何……コレ?』





預かってきた段ボールを
アイルの膝にのせた






『重っ・・・なに…?

リョウキ用事って

ソウタさんのとこ?』




アイルが箱を開けて問う




手紙、カード、絵、ぬいぐるみ…

それらを見つめ

アイルがうつむいた





『グスッ・・・ふふ…こんなに

読みきれないよ・・・っ』




『なら…一緒に見ていいか?』



『うん…』


そう言いつつも
アイルはひとつひとつ丁寧に
手にとって見ていた


その顔がすでに微笑みに変わっている


オレが見せてもらったものだけでも
ごくごく普通の挨拶のような手紙…
感謝状のような手紙ばかりだった


アイルに
ただ会いたいって気持ちだけが
書かれている


大変だったね、とか
ガンバレ、とか
そんな言葉はひとつもない



『アイルは、すごいな?』

『そんなんじゃ…ないよ・・・グス』



思わず言葉をもらしたオレに
少し照れくさそうにアイルが答える
涙を拭きながら




『〃あいる おとこ つくれよ〃…って

なんじゃこれ!?』




『ぷっ…あ~ソレ・・・ゼッタイ…』




『マセたガキがいたもんだなっ?!』



子どもの字の手紙をみつけてツッコむ



『ふふっ。そう…マセガキ

いるんだ~一人(笑)』



どこのガキか知らんが
ヨケーなお世話ってヤツだぜ?!

なんて、笑いも交えながら
長いことかけて結局二人で
全ての手紙を読み終えた

アイルが手紙や送られたものを
大切そうに…ひとつひとつ箱に戻す



『んで?アイル…どーしたって?』



『…ううん。なんもない
今日は早く寝ないとね
明日から・・・仕事だから』



『あぁ、そうだな』

あたたかい風は…
アイルにちゃんと伝わったようだった
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