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月夜の時間
第13章 すれ違い
タクシーを呼び、亜里沙を奥へ押し込み、坂城も

乗ろうとした。

「一人で帰れます!」

「まぁまぁ、そんな事言わないで」

ドアが閉まる直前、賢治が亜里沙の腕を引っ張る。

「俺の彼女に何してんの?」

タクシーは乗客を降ろして発車した。

坂城は瞬時に賢治に胸ぐらを掴まれた。

「えっ!…」

「何持ち帰ろうとしてんだって聞いてんの。」

賢治の微笑みからは歯ぎしりのような音も聞こえてきた。

「ははっ、彼氏いるなら言ってよー」

「えー、さっきから何度か言いましたけど。」

「おっ、俺飲み直すわー」

坂城は店に戻って行った。
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