この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
国王の契約花嫁~最初で最後の恋~
第14章 烈しさと切なさと、愛しさと
ファソンは眼を細め、眼前の花を見つめる。その朝、王から届けられた見事な桜は何でも大変珍しいもので、五月下旬から開花し、およそひと月に渡って咲き続ける不思議な花だという。
ファソンとて遅咲きの桜を見たことがないわけではないけれど、流石に一般的に桜が咲く季節からほぼ二ヶ月後に開花する桜など聞いたこともない。
そんな珍しい桜が北方の山奥で見つかり、王宮に献上されたのはつい二日前のことだという。ただ一人の妃を熱愛する王はただちに妻のためにその貴重な桜を豪華な花束にして中宮殿に贈り届けたのだった。
ファソンとて遅咲きの桜を見たことがないわけではないけれど、流石に一般的に桜が咲く季節からほぼ二ヶ月後に開花する桜など聞いたこともない。
そんな珍しい桜が北方の山奥で見つかり、王宮に献上されたのはつい二日前のことだという。ただ一人の妃を熱愛する王はただちに妻のためにその貴重な桜を豪華な花束にして中宮殿に贈り届けたのだった。