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第14章 烈しさと切なさと、愛しさと

　―嘘だ。そんな殊勝な心がけなんて、欠片ほども持ち合わせてはいなかった。夜ごとファソンを抱きながら


―愛している。


　と、彼がくれた言葉一つを心から信じて馬鹿みたいに後生大切に胸に抱きしめていたのだ。この後宮には彼から愛される女は自分だけだと愚かにもずっと思い込んでいた。




　けれど、当の男の前で、どうしてそんな真実が言えるだろう？　ファソンにだって女の誇り、妻としての意地はある。