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第15章 恋敵

　ファソンの脳裡に一つの光景が鮮やかに浮かび上がる。


　カンが広い寝台の上で崔昭容と抱き合っている。むろん、二人ともに一糸纏わぬ姿で、崔昭容の白い膚とカンの小麦色の膚が鮮やかな対比をなしている。



　女はこちらに背中を向けているため、ファソンには容貌までは定かではないが、あの背格好は紛れもない崔昭容である。崔昭容はカンの上に両脚をひらいて跨る形で乗っている。カンが動く度、崔昭容の華奢な肢体が鞠のように弾む。その動きにつられ、解き放った漆黒の長い髪が意思を持つ生きもののようにうねる。