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国王の契約花嫁~最初で最後の恋~
第15章 恋敵

―だって、カンの顔を見たら、泣き出しそうになるかもしれないもの。棄てられた悔しさなんて忘れて、時々でも良いから私を思い出してと、縋ってしまうかもしれないもの。
それだけは嫌だった。彼を恋しく想う心と、女としての意地。どちらもファソンにとっては譲れないものだった。
「ファソン、私の顔を見ろ」
カンがファソンの顎に手をかけて、クイと仰のかされる。触れそうほなど間近に、カンの美麗な面が迫っている。漆黒の瞳は相変わらず綺麗すぎて、見つめていればこのまま魂(こころ)まで吸い込まれてゆきそうで。
それだけは嫌だった。彼を恋しく想う心と、女としての意地。どちらもファソンにとっては譲れないものだった。
「ファソン、私の顔を見ろ」
カンがファソンの顎に手をかけて、クイと仰のかされる。触れそうほなど間近に、カンの美麗な面が迫っている。漆黒の瞳は相変わらず綺麗すぎて、見つめていればこのまま魂(こころ)まで吸い込まれてゆきそうで。

