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第15章 恋敵

　カンは端正な面を怒りの色に染めて言った。


「いいや、一介の尚宮ごときが中殿に手を上げるとは、許し難い所業だ。しかも、このように酷い有り様になるほど頬を打つとは」


　カンはいっそ冷酷ともいえる王の顔そのもので断じた。


「ファソン、そなたが幾ら朴尚宮を庇おうとも、私は崔昭容からすべてを聞いて知っているのだぞ」



　カンは言った。昨夜、崔昭容が泣きながら一部始終を打ち明け、大変なことをしでかしてしまったと告げたのだと。