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国王の契約花嫁~最初で最後の恋~
第15章 恋敵
 カンが感に堪えたように言った。

「かつて、そなたとは真逆のことを言った人がいた」

 カンの眼が遠くなる。何かを思い出すように、彼は訥々と語った。


「後宮は伏魔殿。他人を蹴落とさねば、自分が蹴落とされる。人を殺さねば、自分が殺される。後宮で生き残るには笑顔の下に鋭い刃を持つことだ。そのためには中殿という立場を利用できるだけ利用する」



 ファソンには訊ねずとも、そもその科白をカンに告げたのは誰か判っていた。朴大妃。カンの生母だ。
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