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第15章 恋敵

　刹那、彼の耳奥で懐かしい声が甦った。


―本当に好きな男の側にいる幸せを知ってしまったから、もう別の男には嫁げないと父に言うわ。



　見せかけの妃になって欲しいと女官だったファソンに頼み、ファソンはカンの初めての側室となった。その後、互いに惹かれ合っていることを確認し、結ばれた。名実共に夫婦になった時、ファソンはカンにきっぱりと宣言したのだ。