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第16章 嫁と姑

　大妃は袖から手巾を取り出した。


「良い歳をして童でもあるまいに、まずは涙を拭くが良い」


　ファソンは大妃から手巾を受け取り、涙を拭った。大妃はしばらく水面を黙って見ていた。夏の終わりにしては冷たさを孕んだ風が蓮池を渡ってくる。


　風に束の間、心地よさげに眼を細め、大妃が唐突に口を開いた。



「待つのだ」