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国王の契約花嫁~最初で最後の恋~
第18章 哀しい恋の歌
カンが笑った。
「民は王の存在に気付くことがなくても良い。ただ民のことを思い、民のために尽くすことが王としての存在価値なのだと父上は仰せであった。ファソン、焦らなくて良い。それをいえば、私だって不安なんだ。この国のために王として自分に何ができるのか、毎年、この国のどこかで飢饉や疫病が起こり、罪なき民が苦しみに喘いでいる。さりながら、私は王としてあまりに無力だ。国庫から金や米を出し民に与えたとて、焼け石に水の有り様なのだ」
「民は王の存在に気付くことがなくても良い。ただ民のことを思い、民のために尽くすことが王としての存在価値なのだと父上は仰せであった。ファソン、焦らなくて良い。それをいえば、私だって不安なんだ。この国のために王として自分に何ができるのか、毎年、この国のどこかで飢饉や疫病が起こり、罪なき民が苦しみに喘いでいる。さりながら、私は王としてあまりに無力だ。国庫から金や米を出し民に与えたとて、焼け石に水の有り様なのだ」