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第19章 嵐の予感

「これは良い。面白い。中殿さま、あなたは実に愉快な方ですな。これまで私が拘わった女たちの中で、あなたのような方は一人としていなかった。殊にあなたのようにお美しく身分のある女性であれば、それだけ気取り返っていても不思議はないのに、あなたはまるで」



　そこで彼はファソンをひとしきり見つめ、呟いた。



「まだ誰にも手折られていない無垢な花のようだ」