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第20章 危険な駆け引き

「孫さんというのね、あのお肉屋さん。私が通りがかったときは丁度、鶏と盛大な追いかけっこをしていたわ」



　そのときの様子を思い出し、少しだけ元気が出て笑った。ガンドクも笑う。




「あいつはいつも鶏を追いかけてるさ。商売物の鶏を家族よりも愛してるようなヤツなのに、よく鶏を捌けるもんだと皆が不思議がってるよ。あいつの口癖いわく〝俺は奴等を愛しているから、俺自身の手で捌いてやるのさ〟と来る」