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国王の契約花嫁~最初で最後の恋~
第5章 契約結婚と本物の恋
「相手の男も気の毒に、私と同じだな」
「それは、どういう意味?」
「つまり、私も嫁に逃げられたということさ」
ファソンは息を呑む。
「嫁って、今は中殿さまを国を挙げて決めている最中なのよ? それなのに、もうお嫁さんになる女性が決まっているの?」
カンがフと淋しげ笑った。その横顔は酷く切なげで、ファソンは胸が痛んだ。
「だから、正式な嫁じゃない。だが、ほぼ本決まりだったらしい。母上が大乗り気だった娘だそうだから」