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国王の契約花嫁~最初で最後の恋~
第5章 契約結婚と本物の恋
ファソンは弾かれたように面を上げた。
「ありがたい話だけれど、遠慮するわ」
「どうして?」
カンは解せないといった表情である。ファソンは首を振った。
「王が公私混同しては駄目だわ。妃が朝廷の人事に口を出すなんて、絶対にあってはならないことでしょう。ましてや、自分の身内の官職を上げて欲しいだなんて、尚更口にしてはいけないことよ」
更に、消え入るような声音で続ける。
「それに、これは本物の結婚ではないんだもの」