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第37章 王様のひとりごと

　だが、彼は知らない。


　これからわずか数日後には、彼にも運命の出逢いが待ち受けていることを。

　そして、その運命の女性がどんな人物なのか。



　春香も真っ青になるほどのお転婆で向こう見ずな娘であることなど知るよしもなく。


　若い王様は再び筆を硯に浸し、墨を含ませた。


「あと少し、爺やが見回りに来るまでに続きを描いておこう」


　呟きつつ、後はひたすら静かな室内には筆をすべらせる音だけが響いた。