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第9章 水仙の妖精

「礼曺判書(イエジヨパンソ)さまのお通りだ。皆の者、道を空けよ、道を空けるのだ」








　横柄な口調で先導を務めるのは礼曺判書に仕える執事か。下僕よりは上等な身なりをしている。錦で着飾って輿上でふんぞり返っているのは間違いなく老齢の礼曺判書その人だ。


　それでなくとも漢陽（ハニャン）の大通りは今日も人波でごった返している。大路の両脇には様々な品物を扱う露店がひしめき、それらを検分する客、少しでも高く売ろうとする店主、それらのやり取りで煩いほどだ。