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国王の契約花嫁~最初で最後の恋~
第3章 〝本の虫〟と呼ばれる少女
〝本の虫〟と呼ばれる少女
華仙(ファソン)は先刻から食い入るように自分の手許を見つめていた。まるで壊れ物にでも触れるかのような慎重な手つきでそれにそっと触る。ひとしきり恍惚(うつと)りと眺め入り、切なげな溜息をそっと零す。
その様はまるで妙齢の娘が恋しい男からの待ち焦がれた文を漸く受け取ったかのようでもある。そう、確かに華仙は美しかった。今年、やっと十六歳になったばかりの初々しい美貌はさながら咲き初(そ)めた水仙の花にでも例えられるだろう。
華仙(ファソン)は先刻から食い入るように自分の手許を見つめていた。まるで壊れ物にでも触れるかのような慎重な手つきでそれにそっと触る。ひとしきり恍惚(うつと)りと眺め入り、切なげな溜息をそっと零す。
その様はまるで妙齢の娘が恋しい男からの待ち焦がれた文を漸く受け取ったかのようでもある。そう、確かに華仙は美しかった。今年、やっと十六歳になったばかりの初々しい美貌はさながら咲き初(そ)めた水仙の花にでも例えられるだろう。