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国王の契約花嫁~最初で最後の恋~
第10章 秘め事
これから自分はこの少女が手ずから縫ってくれた胴着を着る度に、この少女のことを思い出すだろう。可愛くて泣き虫で、ゆきずりの旅芸人にすぎない自分のために親身になってくれた両班の娘のことを。
これまで貴族のお嬢さまなんて、高慢で横柄で、ソンジュのことなど道端で眼に入るのも穢らわしいといった風に見下すような娘ばかりだと思っていた。けれど、広い世の中には、ファソンのような身分に囚われない心優しい貴族の令嬢もいるのだと初めて知った。