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第11章 哀しい誤解と王の嫉妬

　そう、いつかまだ女官だった頃、カンから聞いたあの無残な最後を遂げた先王の側室が暮らしていたという、いわくつきだ。






　まだ東宮であった頃、カンが遭遇したという美しい妃は、大妃の怒りと嫉妬を買い鞭打たれた挙げ句、流産して亡くなった。その無念の死を遂げた側室の亡霊が夜な夜な、この界隈に出るという噂はもう先代の王の御世から後宮の女官や内官、果ては見廻りの衛士たちの間でひそやかに囁かれていたという。