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第11章 哀しい誤解と王の嫉妬

　カンがファソンを連れて行ったのは、手近な殿舎―つまりは、前王の側室の亡霊が出るというあの殿舎だった。



　乱暴に床に放り投げられ、ファソンは床のあまりの冷たさに身震いした。





　通常、使用しておらぬ殿舎も女官たちが窓を開けて換気し、掃除も欠かさない。従って、この殿舎も埃一つなく、掃除は隅々まで行き届いている。とはいえ、無人の殿舎はやはり森閑として、うち捨てられた淋しさのようなものがそこここに漂っている。