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国王の契約花嫁~最初で最後の恋~
第4章 突然の見合いと家出
両開きの扉を閉める寸前、憤懣やる方ないといった母の言葉が聞こえた。
「大監はあの娘に甘過ぎます。あんなことを仰せになって、ファソンが嫌だと言い出したら、いかがなさるおつもり? 今度のお相手は我が家からお断りできるようなお方ではないでしょうに」
父が何か言う前に、ファソンは急ぎ室の前を離れた。到底、両親の会話を聞いていられなかった。
母の頭には陳家の隆盛しかないのだ。娘の幸せなど、二の次なのかもしれない。