この作品は18歳未満閲覧禁止です
国王の契約花嫁~最初で最後の恋~
第12章 この美しい月影を、あなたと
その二日後、ファソンは都の往来を息せき切って駆けていた。
「上演時間は確か夕方からだと言っていたけど、間に合うかしら」
父が根回ししてくれるのに意外に刻を要したらしい。だが、この際、文句は言えない。どのような手を使ったのかは判らないが、極秘とはいえ、仮にも王命で謹慎中に王妃を中宮殿から一時、抜け出させるのだ。父があの日、言ったように下手をすれば冗談でなく国王に刃向かった大逆罪と見なされてもおかしない。