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第12章 この美しい月影を、あなたと

　怪我はないかとトクチュを気遣う美しいソファ。

　しかし、トクチュはソファの穢れなき美貌にひとめで眼を奪われ、声も出ない有り様だ。

　ソファは再度ここで訊ねる。

「若さま、どこかお怪我でも？」

　今度はトクチュが応える。


「いや、私の方こそ済まぬ。どうやら、考え事をして、ぼんやりと歩いていたようだ。そなたの方こそ怪我はないか？」