この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
銀木犀の香る寝屋であなたと
第3章 婚姻
珠子と文弘の祝言が挙げられた。
珠子は朝からほとんど話すこともなく人形の様にされるがままで、式の間一言自分の名前を告げたくらいだ。
神社で式が終わると藤井邸へと会場を移し、洋風の立食パーティが行われる。
珠子と文弘が洋装に着替えている間に、高齢の藤井正弘男爵は体調が思わしくないようで軽く挨拶をした後奥に引っ込んでしまう。
少々白けたような席ではあったが、滞りなく両家の交流も無事なされた。
この祝言は身分の割に地味なもので沢木家からは浩一と葉子のみの参列で、藤井家も似たようなものだった。
披露宴も長くは続かず、適当に切り上げられ、浩一と葉子はその日のうちに帰った。
珠子はまだ寂しい実感が沸かず、二人が車に乗り手を振るところをぼんやり眺め見送った。
珠子は朝からほとんど話すこともなく人形の様にされるがままで、式の間一言自分の名前を告げたくらいだ。
神社で式が終わると藤井邸へと会場を移し、洋風の立食パーティが行われる。
珠子と文弘が洋装に着替えている間に、高齢の藤井正弘男爵は体調が思わしくないようで軽く挨拶をした後奥に引っ込んでしまう。
少々白けたような席ではあったが、滞りなく両家の交流も無事なされた。
この祝言は身分の割に地味なもので沢木家からは浩一と葉子のみの参列で、藤井家も似たようなものだった。
披露宴も長くは続かず、適当に切り上げられ、浩一と葉子はその日のうちに帰った。
珠子はまだ寂しい実感が沸かず、二人が車に乗り手を振るところをぼんやり眺め見送った。