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色絵
第10章 狂い咲き

先生は男親だけでこれからの難しい時期を乗り越えられるか不安があり、そんな時にワタシに心を開いていてくれればいいとおっしゃっていた。


そんな幸せ一色の時間が2月余りあって、この空間が永遠に続くと信じていた。

その証に情画は沢山仕上がり十分本にできるほどになっていた。
ただ、創作のための行為なのか、行為の際にかろうじて創作に取り掛かるのか、全て気まぐれで、互いの欲を貪り合うことが最優先となっていった。

季節も変わり夏になっていた。

「庭の景色もだいぶ変わったので、たまには散歩して庭の花でも描いてみましょうか。」

先生と手を繋ぎ庭を歩く。夏の花々が咲き乱れていた。

「さるすべりの2色咲き、先生、それに朝顔が今開いてます。」

「狂い咲きですね。
さるすべりはなぜか紅白の花を一本の樹に咲かせるし、日陰のせいか朝顔は一日中花を開き続けるのです。

やはりこの狂い咲きを描きましょうか。

少しここで待っていなさい。」

先生があの雨に濡れた日、外で描いていた時に使っていた道具を運んできた。

午後、花の絵を描くなんて珍しい。

「さて、3つの花の狂い咲きを描きますよ。」

「3つ?」


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