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色絵
第12章 桜

「ママ〜朝顔の種まきしよう。」

「あら、ちゃんと覚えてるなんて偉いわね。実」

「学校でも種まきしたんだぁ〜。
でもさぁ、朝顔は朝咲くから朝顔だって、先生いってたよ〜」

「そうね。」

実の口から先生というフレーズが出る度にあの人を思い出す。

「この朝顔だって朝しか咲かないじゃん。」

「そうね。でも、7つ前のお母さん朝顔は1日中咲いていたのよ。」

「ふうん。1日中咲いてたら綺麗だよね。」


ワタシが寝込んでいた時、先生が玄関に鉢植えと描きかけの絵を置いていったのだ。

『せめて絵は仕上げてくださいね。』

そんな手紙が添えられていた。


家に来ても、鉢植えの朝顔は1日中咲いていたのに、翌年、種を蒔いても朝しか咲かなくなったのだ。





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