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色絵
第2章 入門
黒塗りの板張りの塀、高くて中の様子が全くわからないお宅。
塀から屋根しか見えないところから、平屋なのだと思う。
塀をくり貫いたような入口、飾りもなく持ち手も同じ板で作られていて、敷地やお家の大きさからすると、裏口かと思うほどだ。
お家の他人を寄せ付けない威圧感は前から気づいていたのだが、
入口の脇に塀をくり貫き、色紙サイズのガラスがはめられていて、掲示板のようになっている。
そこに、色紙に描かれた絵が飾られているのだが、その絵が変わったのだ。
前は、桜の枝先が描かれていたのだが、今は桜は新緑に変わり、まだ色づいていないさくらんぼが描かれていた。
月替わりで季節の絵を飾っているのだろうか。
塀の威圧感に圧倒され、先月の絵も遠巻きに見ていただけだった。
絵が変わったことで、周りに見せるためのものだとわかったのだ。