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色絵
第5章 蕾
嫌な時間は長い。
ようやく月曜日になりワタシは急いで屋敷に行く。
先生は黄色い薔薇を描いていた。
ワタシの題材は鉢植えのパンジー。先生はちゃんとステップを踏んで教えてくれる。
「何日か練習して終わったら、持って帰ってね。」
先生からいただいた花を持ち帰れるのが楽しみだ。
午後は芍薬の続き、着物の部分の色付け…
「一旦は脱いで…」
ワタシがポーズを取る時の先生の口調はいつも命令形で、ドキドキする。
先週と同じポーズになると先生が近づいてきた。
何の用事があるの?
パサッ…
バスタオルが肩から掛けられて先生の手が前に回ってきた。
パチンっ…
洗濯バサミで前を合わせてバスタオルを止めた。
先生は覗かないように離れて手探りで止めていたようだけど、首に回された手がくすぐったかった。
そして華奢な印象があったのに捲れて見えた先生の腕は男のものだった。
手がスッと離れていくのが寂しい。
「さて、花の柄がないところを仕上げてしまうからね。」
ほら、ポーズの時以外は優しい。
そしてまた静寂の世界になる。
今日の色付けは、腕を通した袖と腰から下の着物部分だ。