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色絵
第5章 蕾
今、胸元に手を当てるのもわざとらしくて、視線に気づかなかったふりをする。
「では続けましょうか。」
位置に戻る。
「休憩前より色がありますね。視線を意識するって大事なんですよ…」
「視線って?」
ワタシは恥ずかしくてとぼける。
「僕が貴女の乳房を見ようとしていたのに気づいたでしょう?」
「えっ…」
「まあ、わざと舐め回すように見たんですが…」
ワタシは益々、恥ずかしくなる。
「後は、着物の柄を色付けするだけですけどね。
柄が重なったり着物が波打つ訳を考えながら見てるんですよ。
脚があるからなのか、お尻のラインから繋がって着物が浮いているのか?とね。
先週は、たまに脚が小刻みに震えてましたからね。今もですけど。」
先生があえて言葉にされたのだと思うと余計に熱くなる。
お願いして描いていただいているのだから…
その後は、気が入ったままでいられたと思う。
途中休憩を入れてなんとか今日中に仕上がった。
完成を見たかったのに、先生は、
「明日のお楽しみね。」
と、隠してしまったのだ。