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色絵
第2章 入門

『教えてます』

此処で、ということでいいのだろうか…

絵の、掲示板の上にインターホンがある。

これもまた黒一色なので、近づいて初めて気付いたのだ。

裏口と思っていた、この1人通るのがやっとといった狭い扉が、正面の門のようだ。

今一度、絵を見る。
さっきより、実は赤みを帯びたのではないか?

実際は変わっていないのに、そう思わせるほど美しく、生き生きと描かれているのだ。

吸い込まれるように、絵を見ていたけれど、
収集時間ギリギリであることを思い出して、その場を離れた。

もう一つの角を曲がり、収集場所に向かう。

いつも通り、前のお宅の奥さんが、自宅周りに併せて収集場所の掃除をしていた。

「おはようございます。」

ワタシから挨拶する。
実は、この方のお名前すら知らない。

表札は、収集場所より向こうにあり、見えないのだ。

ワタシは、お名前をお伺いすることも出来ないくらい社交下手だ。



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