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色絵
第6章 開花
項に唇をつけたまま話す先生の声に体は震え、悦びの悲鳴をあげた。
肩の手が腕を撫でて下りワタシを捕まえた。唇が離れていき、耳に触れた。
「次の牡丹もどんな貴女を描きたいか決まっている。
でもね、そしたらもう止められなくなる。
貴女の肌をもっと見たい。その欲望しかないんだ。
だから、終わりにするなら今だよ。」
先生の言葉が耳の奥に入るけど、掴まれた腕を振り払えない。先生が欲しい。それがワタシの望みだった。
「よく考えて…」
先生に玄関まで見送られ、パンジーを渡された。
覚悟がないなら、もう来るなと言うことだろう。
ワタシは屋敷をあとにした。
帰ってシャワーを浴びる、冷静に考えるために…
きっかけから考えた。赤い着物の女性の存在に嫉妬した。直接は存在しないとはどういうことか…
わからないけど、先生の一番になりたかった。
もうワタシの気持ちははっきりしているじゃないの…
自分に言い聞かせた。
食事をして屋敷に向かう。絵になる快感に溺れる前から、家のほうが仮住まいだと思っていたじゃない。
気を引き締めてインターホンを押した。
「どうぞ」
先生の声はいつもの通りだった。