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やめて、やめないで(5DOLL三部作目)
第6章 何の為に生きる?
料理はどれも珍しく、どれをとっても凝っていた。

薄氷でできたお皿に乗せた造り。笹の葉を細かく細工した敷物に乗せたフグ刺し。
海老そぼろの出汁巻き玉子。
炭火で焼いた大トロにウナギ。

鮨屋というより和食屋。

お品書に値段は載っていない…つまり、時価。

パパは料理を板前にお任せだが、鮨はあぶった大トロばかりを注文する。

[どうせ食うなら好きな時に好きなモノをだ。その為にアクセク働いてるようなもんだ]

私も遠慮せず食べる…明日からダイエットが始まる。

確かにどれもこれも美味しかった。

この旨さは知らない方が良かったかもしれない…。

[知らない方が良かった事ってある?]
私は彼に聞いた。

[たくさんあるさ。だが今は飯を楽しめ]
彼は言い、大トロをまた注文した。

板前はイヤな顔をせず握り始めた。

金がなきゃできない。
金があるから出来る事。
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