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honey chocolate
第3章 焦燥の緋色
あれから一週間、仕事の話以外のことは何も無く過ごしていた。
「なぁ、本郷」
「なに?」
「ねぇ、これ、見てみろよ」
同期の森山(もりやま)が知咲に携帯で何か見せた。
そこには、職場に近い所にある今話題のカフェだった。
「あ、ここ!いつも行ってみたいと思うんだけど、なかなかね〜」
「じゃぁ、俺と一緒に行こうよ」
「え、」
「あ、いや、俺も気になってたし、ただコーヒー飲むくらい付き合えよ!」
「あ・・・う、ん、」
コーヒー飲むくらいの事、断る方が自意識過剰だよね・・・
「じゃ、次の休みで!」
「分かった」
「ねぇねぇねぇ!ちょっと知咲!どういう事よぉ〜」
にやにやとしながら近付いてきたのは、同じく同期の里緒(りお)。
「いや、コーヒー飲みに行くだけでしょ」
「いやいやいや!デートでしょ、お誘いでしょ?!」
「自意識過剰だよ、コーヒー飲んで、終わり!」
まるで自分に言い聞かすように知咲は里緒に言った。
そう、何も他意は無い。