この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
隠密の華
第9章 八
……同時に、こうも分からず屋なのかと。我が儘な子供の様に見える桐へ、苛立ってくる。
「いい加減、理解しろ!仕方ないだろ!」
「理解出来るか!お前分かってんのか!?白夜は女たらしだぞ!結婚しても幸せになれるわけねーだろ!」
「それぐらい承知している!初めから幸せになろうとも思っていない!」
「幸せになろうと思ってないだと!?じゃあお前何のために生きてんだよ!」
「だから国の為に……!」
話しても話しても、らちが明かない。こんなに桐が頑固だとは思ってもいなかった。もう話しても仕方ない……。
「分かった。もう良い。寝ろ」
諦めて、低く呟いた。そんな私へ、桐が唐突に頼むとは思わなかったが。
「愛してるって言って……」
「は……?何故だ、急に」
「良いから、都からそう言われたい」
私を抱き締めたまま甘えてくる桐へ、私は唖然としながら口を開く。
「愛して……」
だが、しかし。私に最後まで言えるわけがなかった。