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**情画**
第6章 夜明け
沙絵さんとは、この感覚は共有できないかもしれない。
もし、自分が被写体でなかったとして、この狂った姿は、化けの皮の剥がれた姿は綺麗と言えるだろうか…
「沙絵さん、最初からワタシを蜘蛛に見立てて吊らし方を考えたのですか?」
蜘蛛というテーマを持って、構想が先にあったとしか思えなかった。
「8年前、私、お父様といずみさんをよく覗いていたわよね。」
「何回かですよね。」
「お父様を取られるのが怖かった。
自分がお父様としてることと、いずみさんのとが、違うのか、同じなのか知りたかった。
でも隙間からじゃよくわからなかったわ。
お父様にここに入るように言われて、初めてすべてを見たとき、いずみさんは、吊るされていたわね。」
「はい。」
「蜘蛛に見えたのよ。
縛られて吊らされて囚われているのは、いずみさんなのに、
花に寄る蝶を網で絡めとる蜘蛛に見えたの。
いずみさんが欲に溺れながらも、お父様を離さない魅力が、その美しさが、お父様を虜にする糸に見えた。
だから、その内面を晒け出した蜘蛛の姿を写真にしたかったの。
蜘蛛がお父様なのか、いずみさんなのか、今回よくわかったわ。」
「これだけ醜い姿ですもの、ワタシですね。」