この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
**情画**
第1章 再開
そんな不安さえ募る。
お屋敷の扉も変わらないまま、戸惑いながらも重厚な扉のノブに手をかけた。
カラン、カラン…
ああ、この音も変わらない。
ドアをドキドキしながら開けたのに、そこには誰も出迎えに来ていなかった。
ああ、
ホッとしながらも落胆する。
「今、手が離せなくてね。
時間が許すなら、いつものように支度してアトリエに来てください。」
先生の声を直接聞いただけで、震えてしまい涙が出る。
「お邪魔します。」
ワタシは衣装部屋に進んだ。
パタン…
全く変わらず衣紋掛けに用意された着物。
やはり、ワタシだけが歳を取っているのではないか…
コンコン
「いずみさん、着物は父が毎日用意して、古くなったものは新調してますから、気にせず袖を通して大丈夫ですよ。」
廊下から、沙絵さんに声をかけられた。
「あ、は、はい。」
大人になった沙絵さんの声…
やはり、ずっと一緒に居たのよね。
当たり前のことで、先生から逃げ出したのはワタシなのに、嫉妬してしまう自分がいた。
『毎日用意して』
先生は、毎日ワタシを待ってくださっていたということ…
先生を忘れたことはない。